Plasma by DIVINITY

というわけで、あまりにも酷い出来というか「よくこんなんでリリースしたよな」と思えるアルバムを聴いてしまったので、怒りのあまり我を忘れてItunesで購入した"Allegory"と"The Singularity"の感想である。カナダのハイパーエクストリーム・カオティックデスメタル。




Allegory
ビックリするくらい速いわけでも特段にブルータルというわけでもないが(所々でそういったパートは登場する)この一見滅茶苦茶に見えて実はしっかりと一本芯の入ったサウンドがこのバンドの持ち味なのだろう。いちいち数えるのも困難なほどの大量のリフで無理矢理捻じ伏せられてしまう。デビューアルバムながらサウンドプロダクションは細部に渡るまで完璧と言えるほどに作られているので、その驚異的な演奏力は嫌でもわかる。ちなみにザクザクと荒々しいプロダクション(無論良い意味で)の次作よりこっちのほうが好み。

当然ジャンルという型に押し込むのが難しいタイプのバンドではあるが、無理矢理そのスタイルを表現するなら超高度テクニカルスタイルのメロディックデスメタルということになるだろうか。

が、さすがにカオティックというかカオス一歩手前な印象は否めない。才能はあるのだろうが、あまりにも複雑になりすぎてリスナーに伝わりづらくなってしまっているような気がした。

ただ、そんな混沌とした曲展開の中に時折「メロデスか!」と唸ってしまうようなメジャー系のリフが飛び出してきて衝撃を与えてくるのが気に入った。時折キーボードの神秘的な音色がうっすらとかぶさってきたり、相変わらず凄まじい表現力を誇るVoはクリーントーンの声も出す。結構メロディアスな傾向が強い。

総合的にはこのアルバムはそこまで高く評価するほどでもないと感じた。アグレッションを前面に出した#1"Induce"、プログッシブな激情を聴かせてくれる#3"Plasma"、最後でようやくエンジンがフルバーストした#10"Neurotyrant"はグレイトな出来栄え。というか多分全曲高水準の素晴らしい作品なのだが、それが伝わりづらいだけなのだろう。

しかし…。

The Singularity
びびった。これは化け過ぎだろう。違うバンドとまでは言わないが、明らかにレベルが1ランクも2ランクもアップしている。

次から次へとリフを繰り出してねちっこく攻めるスタイルは変わってはいないが、前作で登場したメロデスっぽいリフやクリーンボイスが減り、デスメタル由来のやけに攻撃的なスタイルの曲が増えた。それに伴ってブラストビートで爆走するパートの比率が前作比で1.6倍ほどにアップ。要はスタイルを崩すことなくよりストレートになり、良い意味で取っ付き易くなった。バンド自身の持ち味である、少し間違えればカオスになりかねない寸前の緊張感溢れるアンサンブルが上手く伝わるようになったと言えよう。

イントロダクション的な#1"Abiogenesis"を経て、#2"Beg to Consume"の出だしから鼓膜を切り裂くような絶叫と地響きのようなブラストビートを叩き付けてくれる。前作は最後の最後でようやく本気を出したが、今回は初っ端から本気モードです。やればできるじゃないか!その後は、2枚合わせて3時間も聴いてないのに「うむ、DIVINITYだな」とうなずけるような、のた打ち回るような複雑なリフのオンパレードである。

続く#2"Ray in The Bed You've made"は比較的キャッチーなリフと歌メロが登場する。当たり前だが演奏自体は目が回るほどに複雑である。なのに"比較的キャッチー"などという言葉がスッと言えてしまった辺り、このバンドの真の力が垣間見れたような気がする。

全ての曲が、前作のハイライト曲であった"Plasma"や"Neurotyrant"すら軽く超えてしまうほどのレベルの曲ばかりだが、特筆すべきはバンドの総力を結集した#5"Transoformation"と#9"Approaching the Singularity"だろう。特に後者は本気であいた口がふさがらず、聴いた後にはため息が出るほどに感動的な曲。

SEPHARIC CARNAGEの如く高速回転する鋭利なブレードの渦に巻き込まれる#6"Monsters Are Real"や#4"Emergent"、ピアノサウンドすら取り込んで圧倒的なドラマティシズムを見せる#7"Embrace the Uncertain"、えげつないブルータリティを発揮した激烈極まりない#8"Formless Dimension"も当然名曲の域に達している。

もう95点オーバーの名盤指定しちゃいます。圧倒的な"Singularity(=特異性)"を手に入れた唯一無二のバンド。天晴れ。もはやテクだけで中身スッカスカの某CRYPTOPSYを超えたカナダ最強のバンドの称号を与えても誰も文句は言わないはず。
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Commented by hayaさん at 2010-01-28 00:08 x
Divinity、2nd出してたんですね、知らなかった;
"Allegory"で「天才だっ」って思ったんですけど、名盤とまで言えないのが残念だったので、2nd聴いてみます!
Commented by final-resistance at 2010-01-28 00:49
>haya様
自信を持ってオススメします。へどばん。様風に言うなれば良盤~名盤はカタいのではないでしょうか。
by final-resistance | 2010-01-27 03:38 | Comments(2)

一生一緒にデスメタル。


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